2018年7月20日金曜日

7月20日の日記:『リズと青い鳥』

映画館で『リズと青い鳥』を観た。
冒頭のほとんど台詞のない登校シーンがよかった。足音だけで愛が伝わる。足音が響くシーンは好きだし、偏執狂的な雑音(?)へのこだわりは好ましい。
正直言って全体として面白いかどうかというと疑問だし、私とは関係ないエモーションの凝縮にいたたまれなくもなった(これは私の問題)が、すごい映画だった。人物の描き方、世界の描き方がよい。完全に鎧塚みぞれの世界だ。映画のほぼ全編を通して鎧塚みぞれの世界を見せつけられていた。幸福な映画だと思う。
作中作としての「リズと青い鳥」に関するシーンはどちらかといえば苦手かもしれない。一般に、架空の童話を導入してその内容とストーリーとをダブらせる作法はあまり得意ではない。『なまえのないかいぶつ』とか。大抵の場合そういう作中作としての童話は、作中作を含んでいるところの作品がなかったら興味を惹かないだろうと思えるし、何かを引用したいなら既存の児童文学なりを使えばいいのにと感じてしまう。
ただ映画『リズと青い鳥』の場合、やはり童話「リズと青い鳥」がなかったら、様々なカットの意味というか盛り上がりがまったく違ったものになってしまうだろうし、作品全体のテンションを底上げする重要な役割を果たしているから、「リズと青い鳥」という作中作なしでやる、というわけにはいかなかっただろう。鳥が飛ぶシーンとか、よかった。
事前にCMやTwitter上のツイート・二次創作などで見た「ハッピーアイスクリーム」という言葉は、映画中で無数に使われているのかと想像していたが、そうでもなかった。映画全体で台詞自体が少なかったんじゃないかという気がする。台詞が実際に比較的少ないのか多いのかは知らないが、印象としてはそうだった。台詞よりは、音、仕草、目線が印象に強く残った。また、台詞が少ないからこそ、その少ない台詞ひとつひとつが面白く感じた。
上映後にパンフレットを探したが売っていなかった。売り切れたのかも。とっくに。

帰宅後はずっと呆然としていた。

録画した昨日のアニメを観ようと思いつつ観ることができなかった。明日、明後日、明々後日にみる。